
光を味方につける、肌のアーキテクチャ — ORBIS リンクルブライトUVプロテクター
建築や都市計画において、自然光をいかにコントロールし、心地よい空間を設計するかが問われるように、私たちの肌もまた、光との適切な関係性をデザインする必要がある。
WHY THIS MATTER?建築・編集の視点を土台に、国内外のさまざまなプロダクトを見渡し独自の視点・美意識のもとセレクトする岡田 和路による連載『WHY THIS MATTER?』——氏の愛用品からモノの物語を紡いでもらう。
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岡田 和路|Kazuyuki Okada
CXディレクター&編集者。建築学を土台に「作り手と使い手の架け橋」を探求。メディアで言葉を編む技術を培い、大手メーカーでは世界市場に向けたブランド戦略を担う。事業とクリエイティブを接続する視点を体得し、現在はIT企業にてデータを起点としたCXディレクションで企業の事業成長を支援する。
モノを選ぶことは、自らの生活を編集することだ。
椅子一脚、アプリのアイコンひとつ──小さな決断が私たちの日常のレイアウトを静かに書き換えている。WHY THIS MATTER? は、選択の裏側に宿る思想を解剖し、つくり手の哲学をユーザーの感覚と言葉へ翻訳する試みだ。
味覚、触感、重量感といった五感のシグナルを入り口に、素材や工程、そしてブランドストーリーを掘り下げることで、衣食住を横断する「価値の構造」を可視化する。読者には暮らしを編集するヒントを、企業には次のプロダクトやブランドシナリオを描くための手掛かりを届けたい。
会話が生まれる、第一印象の揺らぎ
ありがたいことに、初対面の方に実年齢を伝えると驚かれることが少なくない。ビジネスの場では、ときに貫禄や経験がポジティブに作用することもあるため、若く見られることが必ずしも万能ではないと理解している。ただ、自己管理能力の証左として間接的に信頼を醸成している側面もあるのかもしれない。
とはいえ、私自身に特別なことは何もない。高価な美容医療や、複雑なスキンケアのステップを日々実践しているわけではないからだ。ただ、ひとつの確信がある。それは、日々の『防御』に対する意識だ。この小さな習慣の積み重ねが、肌の印象、ひいては自分自身のプレゼンテーションを大きく左右している。

都市に暮らす、無防備な私たち
以前の記事では、過剰な光や情報から視界を守る、知的な『防御』について触れた。
建築や都市計画において、自然光をいかにコントロールし、心地よい空間を設計するかが問われるように、私たちの肌もまた、光との適切な関係性をデザインする必要がある。
プロジェクトマネジメントに置き換えるなら、紫外線は予見可能な最大のリスクだ。このリスクをヘッジせずに、長期的な成功はあり得ない。窓ガラス一枚で屋内外の環境が劇的に変わるように、肌の上にもまた、質の高い『一枚のフィルター』を実装することが、未来の自分に対する最も効果的な投資だと考えている。
私が重用するのは、単なる防御膜ではない。日々の生活に寄り添い、むしろパフォーマンスを向上させてくれるような、インテリジェントなパートナーだ。
攻めと守りを両立する、ミニマルな解
数多くのプロダクトを試す中で、辿り着いた解がある。それが、この数年間、私の定番であり続けている日焼け止め『オルビス リンクルブライトUVプロテクター』だ。
このプロダクトが秀逸なのは、単に紫外線を防ぐ機能に留まらない点にある。製品名が示す通り、『シワ改善』と『美白』の効果を併せ持つ有効成分『Wナイアシン(ナイアシンアミド)』が配合されているのだ。

オルビス リンクルブライトUVプロテクター
これは、守りながら攻める、まさに“一石二鳥”の思想。多忙な日々の中で、煩雑なプロセスを嫌う私にとって、このミニマルな設計思想は深く響いた。ひとつのアクションで複数の課題を解決する。それは、ビジネスにおける効率化の考え方にも通じる。
機能ではなく体験を実装する思想
オルビスは1987年の設立以来、科学的知見に基づき、肌が本来持つ力を引き出すことを目指してきたブランドだ。その哲学は、このプロダクトにも色濃く反映されている。
特筆すべきは、その心地よいテクスチャーと仕上がりだろう。日焼け止めにありがちなきしみや白浮き、被膜感を抑えた設計で、使用感も快適だ。むしろ、上質な保湿クリームのように滑らかに伸び、肌のトーンを均一に整え、自然な艶を与えてくれる。
これはオルビス独自の『ATプロテクト処方』によるもの。表情の動きに合わせて伸縮する柔軟な膜を形成することで、UVカット膜のヨレやひび割れが起きにくいよう工夫されている。
この処方は、紫外線防御剤が肌に直接触れにくいよう設計されている点も特徴だ。そのためか、長時間の使用でも快適な感覚が続き、私自身は肌への負担も少ないと感じている。この『肌が綺麗に見える』メイクアップ効果は、単なる副産物ではない。自信を持って一日を過ごすための、精神的な支えにもなる。
機能の羅列ではなく、心地よい『体験』を実装する。つくり手の誠実な意志が、そこにはっきりと感じられる。
日常に溶け込む、静かなるインフラ
どんなに優れたプロダクトも、日常の動線から外れていては意味をなさない。その点、このアイテムは生活のインフラとして完璧にデザインされている。
まず、特別なクレンジングを必要とせず、普段使いの洗顔料だけで落とせる手軽さ。一日の終わりに余計な一手間を増やしたくない私にとって、これは譲れない条件だ。白いシャツの襟元を汚しにくい配慮も、日々の小さなストレスを確実に減らしてくれる。
出張が多い身からすれば、50gという容量が機内持ち込み制限をクリアしている点も重要だ。そして何より、全国の直営店やオンラインストアで容易に手に入るアクセシビリティ(入手の容易さ)。「いざとなれば、いつでも買える」安心感は、心理的な負担を大きく軽減する。
時間は、誰にでも平等に与えられた資産だ。しかし、その資産をいかに保全し、価値を高めるかは、日々の選択に委ねられている。この一本は、私にとって単なるスキンケア製品ではない。
未来の自分への投資であり、自らのタイムラインをより良いものへと編集してくれる、信頼できるパートナーなのである。
