
公共空間はハードウェアだけではつくれない。根深い“お客様意識”からリデザインする──川西康之×田中みゆき【連載:デザインとアクセシビリティをめぐるダイアローグ #2】
デザインする側がもっと頑張って、「こういう人もいるんだよ」と伝える場にしていく必要があると思うんです。お客様のちょっとした手助けなしにはアクセシビリティが成立しないからこそ、現場に張り付き、多様な声に耳を傾けるデザイナーがすごく重要になる。
アクセシビリティを意識したサービスや、インクルージョンを掲げ生み出されたプロダクトが、大きく注目される機会が近年増えてきた。デザインの世界においても、そうした文脈から「イノベーション」として評価されるものがいくつも誕生してきている。
しかし、その取り組みの多くは、障害のある人や高齢者、子どもなど「社会的マイノリティのため」の、「特別」なものとして理解されているケースも少なくない。あらゆる人の使いやすさを、当たり前に考慮していくデザインが未だ少ないのはなぜなのだろう。アクセシビリティやインクルージョンの視点が当たり前となるために、私たちに何ができるだろうか。
連載「デザインとアクセシビリティをめぐるダイアローグ」は、キュレーター/プロデューサーの田中みゆきと、各分野の第一線のデザイナーとの対談から、これらの問題を考えていく。第2回でたずねたのは、さまざまな鉄道会社の車両や駅舎のデザインを手がけてきた、株式会社イチバンセン一級建築士事務所の川西康之だ。
テーマは、不特定多数の他者が同時に存在する「公共空間」のデザイン。公共交通におけるモビリティの設計では、ユーザーを選ぶことは許されない。法的なバリアフリーの基準をクリアした上で、マイノリティも含めた全ての人が「移動の喜び」や「心地よさ」を感じられるような価値を実装できるか。川西の実践から、人を排除しないデザインの可能性を探る。
なぜ鉄道に「デザイン」が求められるのか?
- 田中
私が一緒にプロジェクトをしてきた障害のある方たちの中に、実は鉄道オタクが結構いるんです。知的障害の人に多いのは知られていますが、視覚障害のある人にも多くいて、音で電車の種類を判別したり、乗っていて車体の浮き沈みの具合から駅がわかったりする人もいるんですね。それが、聞いていてもすごく面白くて。乗り物には、なにか人の根源的な喜びがあるんだろうなと思っていました。
- 川西
「遠くへ行きたい」という、私たちの生き物としての欲求を叶えてくれる存在ではありますよね。交易の歴史を見ても、人は遠くに行くことで豊かさを求めてきたわけで。そこを助けてくれるものに乗ることは、やはり快感や達成感を覚えるんだと思います。
株式会社イチバンセン 一級建築士事務所 川西康之
- 田中
以前、自閉症の方が制作した作品を滋賀で展示させてもらったとき、本人が埼玉からわざわざ会場にまで足を運んでくださったんです。自分の作品が展示されているのを見たかったわけじゃなく、新幹線に乗れる貴重な機会だからと(笑)。でも、それを聞いてすごくいいなと思いました。
そうやっていろんな人を包む器として鉄道車両がある。川西さんは、デザイナーとしてどこにどう関わっているんですか?
- 川西
鉄道には、もともと「大量に人とモノを運ぶのが得意」という特性があります。だから、重量のある荷物の輸送や、都市の中を数分おきに正確に走ることには長けています。一方で、小さい荷物の個別配送や過疎地域での運行は、経済効率上あまり向いていません。
そういう背景があるなかで、時代とともに、飛行機や自家用車をはじめとする移動手段がどんどん多様化してきたこと、さらに近年の人口減少の影響で、鉄道事業そのものの優位性がなくなってきました。新幹線は今でも移動の主要な選択肢になっていますが、地方の鉄道ではそこまでの信頼を得られていないこともあります。
そこで、各鉄道会社は「ユーザーに選ばれるためのデザイン」を強く求めるようになり、車両メーカーとの間に入るデザイナーとしてお声がけをいただくようになりました。
実際に携わった例だと、JR西日本の「WEST EXPRESS 銀河」という観光列車があります。鉄道が他の乗り物と大きく違うのは、シートベルトがない点です。大型船舶を除いて、鉄道車両だけは中を自由に歩き回れる、つまり建築に近い。自分で気分を変えたり、疲れた身体をほぐしたりもしやすいんです。そのアドバンテージを生かし、1車両ごとに「違う景色」を楽しんでもらえるようなデザインにしました。




JR西日本 WEST EXPRESS 銀河(写真提供:西日本旅客鉄道)
- 田中
座席の説明を見たんですが、移りゆく景色を真近で鑑賞する空間という意味で、まるで劇場だなと思いました。劇場も、席は同じ方向を向いて余裕なく配置されていることが多いので、それ以上の体験かもしれませんね。「障害のある人のため」などと特に掲げているわけじゃないのに、実はいろんな身体の人がいられる設計になっているのも、すごくいいなと。
キュレーター/プロデューサー 田中みゆき
- 川西
一番の挑戦は、窓に対しての角度、人の視点が異なるシートをいくつも用意したことです。それが実現できたのは、JR西日本の経営者に「過ごし方の選択肢をたくさんつくる必要がある」という意識があったからですね。
楽しい列車の旅とは乗客にいろんな過ごし方を提供することであり、6両なので少なくとも6種類、バラエティに富んだ空間にしてくれ、と。そのオーダーが最初にあったことで、座るとさまざまな発見がある、多様な座席デザインを提案することができました。
「翻訳者」としてのデザイナーのあり方
- 田中
鉄道会社の中には、いわゆるデザイナー職の人はいないんですか?
- 川西
インハウスのデザイナーさんもいらっしゃいますし、車両メーカーに渡す設計図面も書けます。その上で外部デザイナーの一番の役割は、鉄道の楽しさを考えるときの、新しい視点の提供にあると言えます。
そして、社員のみなさんやお客様の思いを客観的に聞いて言葉にする「翻訳者」でもあります。車両設計でも駅舎づくりでも、私たちが非常に重要視しているのが、関わる人たちが“自分ごと化”していくプロセスです。
車掌さんや運転手さんはもちろん、メンテナンスをする車両整備士さんや営業の方まで可能な限り集めてもらって、ワークショップや未来会議のような場を何度も開きます。つくったあとの運用に携わる人も含めた「チーム」ができないと、プロジェクトは絶対に成功しませんから。
それからもう一つ、その場にできるだけお客様を巻き込むことも提案します。これを実際やるのは大変ですが、やはり利用する方の話を直接伺う機会は重要ですし、そこで出てくるニーズにはできるだけ応えたい。もちろん、誰かひとりの意見にだけ左右されるわけではなく、最終的にどの優先順位でいくかは鉄道会社と相談しますが、なぜそのデザインをしていくのか、判断のための根拠を私たちも持つ必要があります。
- 田中
これまで関わられたプロジェクトを拝見していても、多様な人との対話をすごく重視されているなと感じていました。ただ、さまざまな属性の方の話を聞こうと言っても、実際にはどうしても声の大きい人の意見がたくさん通って、マイノリティの声は聞かれづらい……みたいなイメージもあるんです。
- 川西
いや、まさにそうなりがちだと思います。なかなか難しい問題ですが、例えば参加者の顔が事前にわかるときは、事前にこちらで座席まで決めてしまうなどして、少しでも意見が言いやすい場になるようデザインしていますね。あとはもう、とにかくいろんな人に聞いてバランスを取るしかない。
その意味で効果が大きいのが、現場での直接のヒアリングなんです。腕章をつけて、名札と鞄を持って、お客様にひとりずつ面と向かって聞いて歩く。移動中の電車だと、これはすごくやりやすい。
- 田中
そうか。実際に乗って、体感していますしね。
近鉄新型一般車両8A系(写真提供:近畿日本鉄道)
- 川西
圧倒的にリアルな答えが返ってきます。これは移動中のヒアリング事例ではありませんが、近鉄の「8A系」をデザインしたときはモニターさんに車庫まで来てもらい、実際の車両の中に2枚、付箋を貼ってもらう調査をしました。1枚は良いと思うところ、もう1枚は課題だと思うところ。
そうすると、近鉄が自慢だった、向きを時間帯ごとに変える座席が、意外と不人気だとわかったんです。混んでいない時間は景色を楽しめるように、前向きになっていると乗客もうれしいだろう、と会社側は考えていました。でも、例えば女子高校生などは、「中年男性と並んでカップルみたいに見られるのが嫌だ」と。そんな意見、それまで聞いたこともありませんでした。
こういう話はインターネットの調査だと、一方通行になり健全なコメントが集まりづらいですが、面と向かってなので、節度を持って話し合いができます。「私たちはこれがいいと思っているんですが……」「うーん、でも私はこれダメなんです」なんてやり取りがあって、近鉄の車両部長が頭を抱えている。そういうコミュニケーションの時間を、デザイナーがつくることが私はすごく大事だと思っています。
ハードウェアデザインを補う「チーム」のデザイン
- 田中
近鉄の「8A系」といえば、新しく「やさしば」というスペースに余裕のある席がつくられていますよね。あれもすごく気になっていました。
一般座席と優先座席とは異なるニーズを引き受ける第三の選択肢として「やさしば」を開発。これまで乗客は、大きな荷物があることで周囲に気兼ねしつつ着席するか、フリースペースで立ったまま乗車するかしか選択肢がなかったが、この「やさしば」により着席しつつ荷物を手元に置くことができるようになったという(写真提供:近畿日本鉄道)
- 川西
ベビーカーや大型荷物のある方も快適に乗っていただける座席として、1両につき2カ所ずつつくっています。優先席も別で2カ所あるので、近鉄車両の片側4扉の、どこから入ってもすぐ傍に優先席か「やさしば」があるようにしました。
「やさしば」はもともと、近鉄沿線の人口減少、特に子育て世帯が住みたいと思う町がない、という危機感から生まれています。その一因が、安心して乗れる通勤電車が走っていないからではないか、と近鉄は考えました。
従来のように人を詰め込むだけの電車を走らせていては、住んでみたい地域を沿線につくることはできないわけです。多様な人がいるなかで、優先席と普通席の中間の存在、困ったときに誰でも安心して使える選択肢をつくりたいんだ、とご相談があり、試行錯誤を重ねました。モックアップを何度も繰り返し、座席の色や手すりの握りなどもさまざまにテストをしています。
ただ、今でこそたくさんの方にお使いいただいていますが、実は最初の半年くらいは全然座ってもらえなかったんですよ。
- 田中
こういう新しい席には、慣れるための時間も必要ですよね。
- 川西
私もそれでいいと思いました。アクセシビリティを考えるときに、時間をかけて許容するプロセスってとても大事じゃないかなと。
例えば新しい施設ができたときに、スタッフが「トイレはどこですか?」と一度聞かれただけで、「デザインが悪いからだ!」と判断してしまうケースってよくあるんです。その方が何をするかというと、慌ててパソコンで張り紙をつくって、ラミネートをしてテープでペチペチ……で、気づけば壁中がラミネート地獄になっている(笑)。
- 田中
よくわかります(笑)。そういう行為は、思考停止を招くものでもありますよね。
- 川西
そう思います。トイレの場所を聞かれたなら、問われたあなたが答えればいい。
- 田中
ハードだけで全て解決できる、と考えるのは間違いだと私も思います。合理化を目指すあまり、どうしても人が介入しない方向に考えられがちですが、それによって余計な混乱や人による格差を生み出していると思います。そういった合理化や効率化の思考がアクセシビリティにとって大きな障壁になっている気がするんです。


JR西日本 やくも(写真撮影:イチバンセン)
- 川西
いわゆるバリアフリー設備って、全ての人に対応できる状態が100%だとするなら、ハードだけではどうやっても届かないんですよ。しかも、移動空間の体験を提供することは基本的に接客業なので、迎え入れる側のサービス、つまりソフトの部分が、利用したときの印象の半分以上を決めます。だから、先ほど触れた「チーム」がすごく鍵になるんです。
例えば、JR西日本で山陰を走る「やくも」の新型に携わったときも、そこをかなり重視しました。単に新しい車両を入れるだけじゃなく、障害のある方が乗車するときのサポート訓練もかなりやっています。デザイナーがそこまで入っていかないと、多様な人に届くデザインは生まれていきません。
ただ、私たちがそういう役割を務めることができたのは、事業のトップがそこの重要性をしっかり理解してくださった面もすごく大きいです。インフラ事業では、事故が起きたときに、犯人探しの構図になりやすい。あらかじめその網に引っかからないよう、予防線を全力で張ろうとするあまり、新しい価値観を受け入れづらい傾向があります。
そこを打破し、公共交通のアクセシビリティを改善できるかは、経営トップの人間性と見識にかかっているとも言えます。
アクセシビリティに欠かせない「助け合いの文化」
- 田中
デザイナーがそこまで踏み込んで関わる事例が、もっと増えたらいいなと思いました。もちろん駅員さんも、以前よりは障害のある人の誘導をしてくれるようになっています。でも一方で、複数の鉄道会社が集まるような駅で乗り換えようとしたら、「(自分の会社は)ここまでしか誘導できないので、あとはまっすぐ行って右に曲がってくださいね」と、途中で誘導を放り出されたという事例も聞くんです。
- 川西
その先は自分の仕事ではないと。本来は、まち全体のアクセシビリティを考えていかないといけないのですが。
- 田中
本当にそう思います。会社ごとに分断するのではなく、ある程度領域を踏み越えないと、人の動線はカバーできないはずです。
- 川西
ただ、それをやるにはやっぱり、乗客の協力なしではできないですよね。アメリカで昔、車椅子ユーザーの方がバスに乗車してきたときに、「自分は次の便でいいから」とさっと降りる人を見たことがあります。
乗り降りの際も、当たり前のように、周囲が協力して車椅子を持ち上げている。そんなふうにお客様も運営者も含めて、「みんなで使い勝手をよくしていこう」という意識そのものを育てる必要があるなと思います。
- 田中
ごく普通の光景として、海外では見られますよね。でも、そういった意識を育てていくとなると、時間や手間などの負担が利用者側にもかかっていきます。今、社会全体がそれを理解しない傾向にどんどん進んでいる気がします。
- 川西
教育でそこに触れる機会が少ないのが、一つ原因ではあると思います。車椅子の手伝い方も、義務教育で教える国もありますからね。まずはそこから変えていくしかない。
ただし、鉄道の場合はちょっと面白い文化があるんですよ。鉄道ファンの人たちが、使い勝手を良くするための情報をどんどん周囲に広めていってくれるんです。頼まれてもないのに、ですよ(笑)。
例えば先ほどの「やくも」には、セミコンパートメントというボックス席をつくって、座面を倒すと床が隠れて、フルフラット座席になるように設計しました。その操作が少しわかりづらいので、客室乗務員には、乗客のフォローをお願いしていたんです。
ところが、鉄道ファンの方たちってすごくて、自分で調べて知っていることを、ちゃんと周りの方たちに教えるんですね。最近はYouTubeにもたくさんの動画がアップされていて、より広く情報が共有されているのを感じています。
- 田中
楽しめる情報、かつ多くの人にとってソリューションになることだと、広がっていきそうですね。一方で、さっきの誘導の話などは、決してみんなにとってわかりやすい、面白い話題ではないし、撮影するわけにもいかないから、発信していく難しさはあるなと思いました。
多くの人がまだ知らない情報に対して、「かわいそうな人がいるんだね」で終わらないようにしつつ、どう臨場感をもって社会に伝えればいいのか。当事者のインフルエンサーが自分で発信するようになってきているので、そうやって少しずつ変わっていくのか……。
- 川西
実際、何人か出てきていらっしゃいますよね。質の高い動画での情報共有を、障害の有無にかかわらず誰でもできるようになってきていることは、アクセシビリティへの理解を深める鍵になるとは感じています。
- 田中
「いろんな困難がある」ということがもっと知られていけば、少数の質的調査などでも、より多様な声が聞かれるようになりますよね。車椅子ユーザーなどはまだ声が聞かれやすくても、見た目で障害があるとわかりづらい人は、今までなかなか注意を向けてもらえなかった。数の少なさゆえに無視されてしまうことが多い状況を、デザインからもっと変えていただけたらいいな、と私は思っています。
「他の客なんて」の意識ごとリデザインする
- 川西
鉄道や駅は、障害の有無などに関係なく、多様な人がその空間を使います。まさにデザインする側がもっと頑張って、「こういう人もいるんだよ」と伝える場にしていく必要があると思うんです。お客様のちょっとした手助けなしにはアクセシビリティが成立しないからこそ、現場に張り付き、多様な声に耳を傾けるデザイナーがすごく重要になる。その姿勢があるから、お客様とも健全な関係が生まれます。
加えて、今日改めて大切だなと思ったのが、日本の「教育」そのものをデザインしていくことです。例えば、混んでいる電車にベビーカーを乗せるとき、私だと何も言われないのに、妻が乗せると「チッ」って舌打ちされるんです。この問題を車両デザインで何とかしたいと思って「やさしば」をつくりましたけど、そもそもそういう人が出てくること自体、国として恥ずべきことですよね。
- 田中
そうなんです。アクセシビリティの話をしていると、いつも最後は教育の問題に行き着くんです。「教育のデザイン」と聞くとすごく途方もない気もしますけど……でも考えたら、日常でできることでもありますよね。
- 川西
今、駅の無人化をめぐって、JR九州と障害当事者団体が裁判で争っているんです。メディアは「かわいそうな障害者」「合理化を優先する鉄道会社」と構造を単純化して伝えがちで、それを周りが「へえ、そうなんだ」とただ見ている。いや、そうじゃないだろうと僕は思うんですよ。
まさに日常の中で、市民がちょっと間に入れば、全てとは言えなくてもかなりの問題が解決するはずです。「他の客なんてどうでもいい」と思う人ばかりではアクセシビリティは成り立たない、という理解を、もっとみんなで共有する必要があります。
- 田中
お金を払った瞬間に、自分は優遇されてしかるべき、みたいな感覚になる人が多いような気がするんです。あの「お客様意識」のようなものって、どうすればいいんでしょうね。
- 川西
見知らぬ他人だと、「お客様は神様」みたいになりやすいのかもしれません。地域コミュニティの中で生活をしていた時代は、売る人も買う人も互いに支え合っている意識があったから、客だからといって横柄な態度を取れなかった。そのコミュニティがなくなっている結果かなと思います。
だからこそ、私たちのような公共交通に関わる人間が、利用者をもっと巻き込んでいく必要があります。移動空間のファンを増やしていきながら、デザインの意味を一つひとつ共有していく。そうして、市民のみなさんが「自分ごと」として関われる手助けを地道にしていくしかないのかなと。
参加型のワークショップを重ねていくと、最初は「何をしてくれるの?」と受け身だった人たちが、「自分には何ができるか」と考え方を変えていくタイミングが訪れるんですね。その潮目までいかに持っていくかが、デザイナーに問われていると思います。
- 田中
アクセシビリティを整えるって、本来すごく面倒くさいことだと思うんですよ。求めていることは一人ずつ違うし、手間もかかる。でも一方で、意外と「人と人」だったらすぐ解決できるレベルのことを、わざわざ「システム」にするからややこしくなっているだけだとも感じるんです。
サービスを提供する側って、そのややこしいことを、何となく取り繕って“うまく回ってる風”にしがちですよね。だから利用者に、別に自分が何もしなくても回るはずだと思わせてしまう。私はもっと、提供側が「私たちも困っているんです」「皆さんの助けが必要なんです」とちゃんと言った方がいいなと思うんです。
それこそトップに求められる資質なのかもしれませんが、そこを隠して対等な関係は築けないですよね。お互いに大変だということを共有しあうところから、考えていけたらいいなと思いました。