4年を振り返り、改めて「そもそもnoteとは?」を問う——ピースオブケイク沢登達也 #uicrunch

2018年3月13日、UIデザインイベント『UI Crunch』の12回目が開催された。 UI Crunchは、UIデザインを追求していくコミュニティー。GoodpatchとDeNAが主体となり、UI開発に関わるすべての人を対象とした勉強会やワークショップを定期的に開催している。

12回目となる今回のテーマは『「伝える」を加速させる。書く、読むUI』。動画や写真などビジュアルコミュニケーションの価値が注目を集める一方で、改めて書く・読むにフォーカスしたUIを考えていく。

イベントは全4部のプレゼンテーション方式。2番目に登壇したのは、株式会社ピースオブケイク デザイナーの沢登達也氏。テーマは『noteの過去と、今と、これからのこと』。

noteを運営するピースオブケイクは、2011年創業し従業員は20名。現在cakesとnoteの2つのプロダクトを運営している。今回登壇した沢登氏は、10年近く受託デザイン会社で制作を担当したのち、2018年1月にピースオブケイクに入社。

現在はnoteのデザイナーとして従事しているという。

イベント冒頭で沢登氏が「noteを使ったことありますか?」と聞くと会場内8割程度の人が使ったことがあると回答。2017年10月にTHE GUILDの深津貴之氏がCXOに就任し、デザイン界隈での認知や利用者が着実に増えているとは思うが、ブログ系のプラットフォームとしてはかなり高い数字だろう。

「noteにとって損にならないと思うことは、自由にやってください」——『CXOが加わってcakesとnoteのデザインチームが目指すもの』 #cxonight
https://note.designing.jp/n/nab5f9a1b125b
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日々のUI改善については深津氏が「noteカイゼン報告」という形で投稿していることもあり、沢登氏からはの「これまでと、これから」の話を中心に展開された。

4年間、変わり続けてきたnote

イベント前半ではこれまでのUIの変遷を追いかけていく。機能拡張に伴いUIが変化してきた過程が見て取れる。ちょうどリリースから4年ということもあり、沢登氏は2年ごとで変遷をまとめてくれた。はじめはリリース当初のデザインから。
(※画像上はインデックス、下は記事詳細)

沢登

noteがリリースされたのは今から約4年前の2014年4月です。当初は検索もカテゴリもなく、全てがタイムライン表示でした。タイムラインと詳細の往復がメインの導線となるため、詳細ページには戻るボタンが付いているのも特徴的です。またこの頃は記事詳細の書体が明朝体のみでしたね。

つづけて、その2年後2016年のデザインを見ていく。リリース当初はかなり伸びも良く、今後が期待される滑り出したったが、2年も経つと成長曲線も少々緩やかになっていたという。このタイミングではさまざまな機能拡張などを通して、どうすれば成長角度が上がるかを検証していた時期だった。

沢登

この時期には検索機能が搭載されたり、タイムラインのほかに「おすすめ」や「カテゴリ」といった別軸でユーザーと出会う機能が搭載されました。それに合わせて記事詳細も、戻るボタンでは無くドロワーメニューが搭載。ハンバーガーをタップしドロワーを開くと、カテゴリなどの軸でほか記事へアクセスできるようになりました。

4年経ち、改めて原点に立ち返る

サービスローンチから4年経過。CXOとして深津氏がジョインしたnoteでは、現在「発見性」「継続性」「コンテンツパワー」の3領域に注力しユーザーと向かい合っている。

沢登

「発見性」は記事の見つけやすさや探しやすさ等接点を増やす役割です。具体的には、タイムラインの改善、フォローブースターの改善、シェアブースターの改善等を行っています。「継続性」やnoteを使うことのメリットを増やしたりバグなどの改善。「コンテンツパワー」は記事内容や記事数を向上させるための施策を考えることです。

一方ピースオブケイク社内ではあらためてnoteと向き合う時期を迎えているという。

沢登

現在社内では、「そもそもnoteとは?」といったところから考え直しています。というのもリリースから4年たち、立ち上げ当初と現在でサービスのあるべき姿が人によってずれていたりする。それを整えるワークショップを行なったりしています。ビジョン・ミッション・プロミス・タグライン・こんなnoteはいやだ、noteの性格など…。メンバー全員で認識を揃えようとしています。

加えて、これからの成長を見越し、変化に耐えうるデザインルールを作っている。

沢登

現在社内にはデザイナーが4名いますが、みな入社2-3ヶ月程度とかなり浅い。ルールがないことでの苦しさがあるんです。サービスの立ち上げ期であればルールがなくとも成立しますが、今後事業を拡大していくためには必ず必要になる。そこで『frontify』という海外サービスを活用し、デザインガイドライン、インタラクション、イラスト、コーディングガイドライン、アセット管理などをミニマムで作り始めています。

ユーザーとの共創

沢登氏は、会の最後ユーザーとの共創について触れて場を閉めた。noteは深津氏がTwitter上で「noteユーザーの方お茶しましょう」とカジュアルにユーザーインタビューを行ったり、改善目安箱から意見やユーザーの声を常に募集している。


沢登

noteは、twitterやnote上でどんどんユーザーの方の声を聞いていきますし、リリース前の機能もお伝えしています。もちろん全てではないものの、なるべく情報をオープンにし、note自体がクリエイターと一緒に育っていこうとしています。

ユーザーと共に作っていこうという姿勢をもつ企業は数多くあるがnoteほどオープンかつカジュアルにユーザーとつながりつつ、「共に作っている感」を演出できている企業は少なくない。noteというプラットフォームはある種のコミュニティのように成長していくことが期待できそうだ。

img: SpeakerDeck(@sawamemo)

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