なぜいま大手のインハウスデザイン組織が連帯するのか──KOEL×Tangity®×パナソニック×日立製作所
社会課題を捉えたり未来構想をしたりするとき、自社だけに閉じているとどうしても視野が狭くなり、答えを見出すことが難しくなっています。だからこそ、社内外の異なる専門性を持つ人たちとの共創が必須になりつつある。
近年、ITをはじめ大手メーカー、金融など多種多様な事業会社で、インハウスデザイナーの活躍を耳にする機会が増えてきた。「インハウスデザイナー起点で、企業を変革しつつある」という話を聞くこともある。
designingでは2024年にフォーカスするテーマとして「インハウスの時代」を掲げ、その要諦を探っている。今回その一環として、大手企業4社と共催で、インハウスデザインの可能性と役割の現在地をテーマに据えたイベント『RENEW』を11月22日に開催する。
- RENEW - インハウスデザイン 可能性と役割の現在地
- https://renewinhouse.peatix.com/view
企業の垣根を超えインハウスデザイナー同士の情報交換やネットワーク構築の機会も目指し開催する本イベント。共催するKOEL(NTTコミュニケーションズ)、Tangity®(NTTデータ)、パナソニック、日立製作所の4社はなぜそうした機会を作ろうとしているのか。その背景にある、各社のデザインとの向き合い方とは。
4社のインハウスデザイン組織のキーパーソンに集まってもらい、それぞれの組織の軌跡と、イベントへの思いを聞いた。
“セミパブリック”領域で新しい社会インフラを──KOEL
今回話を伺ったのは、赤司卓也(日立製作所)、高見逸平(NTTコミュニケーションズ)、永井伸春(NTTデータ)、中川仁(パナソニック)の4名。
奇遇にも全員が、キャリアの出自がプロダクトデザイナーという共通点を持つ。
赤司と中川は新卒から現在までそれぞれ日立製作所とパナソニックに勤め、各社のデザイン組織の変遷を当事者として見てきた。一方、高見と永井は事業会社を渡り歩きながら、現在のNTTコミュニケーションズのインハウスデザインスタジオ「KOEL」とNTTデータのデザインブランド「Tangity®」にたどり着いている。
インハウスデザインといってもそのあり方や価値発揮は時代や企業によって大きく変わる。歴史と規模のある4社において、デザインはいかにあり方を変えてきたのか。まずは各社に、現在のデザイン組織に至った軌跡を振り返ってもらった。
口火を切ったのは、2020年に発足した、比較的新しいインハウス組織であるNTTコミュニケーションズのデザインスタジオ、KOELに所属する高見だ。
NTTグループの法人向けICT事業を担うNTTコミュニケーションズは、大きく3つの本部で構成されている。大企業から官公庁まで幅広い顧客や社会のニーズに合わせた業界別ソリューションを提供する「ビジネスソリューション本部」、地域創生や中小企業のDXを加速する「セールス&マーケティング本部」、デジタル社会に求められる新たなプロダクトを開発する「プラットフォームサービス本部」だ。
KOELが所属するのは、これらを含む全社に対して既存事業の変革と新規事業の創出を行う横断的役割を持つ部隊「イノベーションセンター」。「事業を生み出すプロデュース部門、最先端技術を開発するテクノロジー部門、技術トレンドを見ている技術戦略部門、そしてKOELが担うデザイン経営を推進するデザイン部門の4つから成る。
KOELが設立された背景には、3つの本部を横断的にデザイン支援する役割に加え、同社が公共性とビジネスの両立が求められる「セミパブリック」領域で新しい社会インフラを実現したいという狙いがあった。人間中心的アプローチや他社・行政との共創支援により、ヘルスケアや教育分野など、さまざまな複雑性の高い領域で社会課題解決を推進する役割を担っているという。
高見(KOEL)「KOELの前身には、経営企画部内に作られた『DKD室(デジタル・カイゼン・デザイン室)』という組織がありました。経営企画部という全社課題に向き合う立ち位置を活かし、表層ではなく戦略のレイヤーからデザインを企業活動に入れ込んできました。
その最たるものが、『顧客志向経営』という方針を掲げて3カ年計画のもと全社に対して展開してきた、デザインアプローチで顧客への提供価値を高めるような施策です。経営戦略からのリブランディング、デザインのガイドラインづくり、業務プロセス変革、人材育成、共創の場づくり……。アプローチは多岐に渡りましたが、後にKOELの立ち上げに尽力することになる金智之を中心に、デザインの切り口で全社と向き合ってきたのです。
その発展形として2020年4月の組織再編に合わせて立ち上がったのが、イノベーションセンターに所属したKOELなのです」
高見がKOELに出会ったのは2022年のこと。その際、同組織が注力している事業共創プログラム「OPEN HUB for Smart World(OPEN HUB)」の話を聞いたという。それまでは電機メーカーや自動車メーカーとメーカー系企業でキャリアを積んできた高見だが、NTTグループにあるアセットや技術を用いながら、共創パートナーとともに社会課題起点での新規事業創出というOPEN HUBのコンセプトに強く共感。実際に、高見は現在同プログラムを中心とした共創領域でデザインマネージャーを務めるに至っている。
高見(KOEL)「金からOPEN HUBの構想を聞いたとき、これまで私がデザイナーとして歩んできたキャリアを効果的に活かせると思いました。これまでは家電や自動車メーカーでさまざまなプロダクトに携わってきましたが、OPEN HUBであればIoTやモビリティなどの特定領域を深めていくことに加え、幅広い産業領域に対し、社会視点を持ちながらデザインの力で貢献していける。そんな機会に大きな可能性を感じました」
グローバルネットワークに強みを持つ──Tangity®
同じくNTTグループのNTTデータが立ち上げたのが、デザインブランド「Tangity®(タンジティ)」だ。NTTデータは官公庁や自治体、金融機関、様々な業種の企業へ向けた、情報システムの構築を行っている。
同社はその社名から国内での展開に強みを持つかと思いきや、数十年をかけ海外での事業基盤もしっかりと構築してきている。2005〜2023年をグローバル戦略期と位置づけ、積極的なM&Aなどを通し、海外進出および海外への技術展開に注力。2023年にはさらに、2022〜2025年度で3,000〜5,000億円を北米での事業拡大などに向けたM&Aに投じる方針を明らかにしている。
こうしたグローバルでの事業展開および組織構築がTangity®の土台となっている。日系企業のなかで最大規模を誇るグローバルなデザインネットワークには、グローバル全体で約950名が所属(2023年時点)、世界中のデザイナーが連携をとる。
NTTデータの事業といえば、システム開発および運用のイメージが強く、一見デザインとは結びつきにくい分野に思われる。事実、「NTTデータにはデザイン本部のような母体は存在せず、公共分野や金融分野を中心に小規模のデザインチームが存在する状態だった」と永井も言う。
しかし、2010年代以降、各ビジネス領域の境目が曖昧になってきた。システム開発・運用ならA社、マーケティングならB社、経営コンサルならC社と役割が分かれていたものの、それぞれの領域の各社が一気通貫したサービス提供を模索するようになった。そうした中、とりわけ事業創出の領域で着目されるようになったのが「サービスデザイン」や「UX」だったという。そこで、NTTデータは2020年、サービスデザイン領域におけるグローバルなデザインスタジオ「Tangity®(タンジティ)」を立ち上げ。これまで培ってきたグローバルのネットワークを活かし、まずは日本・イタリア・ドイツ・イギリスの四カ国を拠点としてスタート2024年現在では、11の地域まで拡大している。
永井(Tangity®)「Tangity®が持つグローバルネットワークの強みは、各国のビジネスの最前線で活躍しているメンバーが相互に経験や知見を共有し高めあっていることです。グローバルで蓄積したさまざまなケーススタディを活用して、日本から海外市場に展開する企業や、日本市場に展開する海外企業など、さまざまなクライアントをデザインで支援できることが大きな強みだと感じています」
半世紀前から続く、デザインを研究する姿勢──日立製作所
一方で古くからデザインに特化した組織を持ち、時代に合わせてデザイン組織のあり方を変容させてきたのが日立製作所だ。
日立製作所のデザイン組織は、1957年に設立された「意匠研究所」にまで遡る。その名の通り、事業部に紐づく「デザイン室」などではなく、「研究所」つまり研究開発部門として始まっていることに、現在まで続く日立製作所におけるデザインのDNAは息づいていると赤司は語る。
赤司(日立製作所)「意匠(デザイン)をR&Dの対象と捉え、リサーチして発展させる。そうしたマインドセットから始まっているのが、日立製作所におけるデザインの特徴です。現在もR&Dに所属しデザインの可能性をひろげるラボと、ビジネス部門に所属しデザインを社会実装するスタジオの両方が存在し、研究と実践をおこなっています」
ただ、半世紀以上変わらず同じ立ち位置だったわけではない。
50年を超える歴史の中では本社の直轄となる「デザイン本部」として生まれ変わった時期や、組織名から“デザイン”が消え「社会イノベーション協創センタ」へ改編されたこともあった。
R&D部門のデザイン組織が再び“デザイン”を名前に冠した「デザインセンタ」に改編されたのは2023年4月のことだ。さらに、日立製作所内部での別の動きとして、「Design Studio」と銘打たれた組織が2022年に設立された。
Design Studioの前身組織の設立は2009年にさかのぼる。家電、エネルギー、インフラ、鉄道と同社の事業領域は多岐にわたるが、その中の一つにデジタル事業を担う部門がある。顧客のニーズにシンプルに応えるベンダーの役割から脱却するため、デザインの視点を取り入れ、顧客の真の課題を捉えた新しい価値を提供するDXパートナーへと事業モデルをシフトするべく新設されたという。
先述した「デザインセンタ」がR&Dというコストセンターの系譜にあるのに対し、「Design Studio」はデザイン自体をサービスとして提供する「プロフィットセンター」と位置付けられる。
加えて、両組織とはまた別の動きとして、買収による社外デザイン組織の合流なども加わり、日立のデザイン組織はHitachi Design Collectiveとも言えるかたちへと変わってきた。ソフトウェア系の開発をする日立ヴァンタラのデザインチームや、2021年に買収したGlobalLogicの戦略デザイン部門であるMethodをはじめ、世界10カ国以上にデザイン組織が存在している。
こうした歴史を紐解くだけでもデザインが絶えず役割や立場を変えてきたことがわかる。そして絶え間ない変化があるからこそ、「研究」による新たなデザインのあり方や価値を模索し続けることが重要なのだ。
赤司(日立製作所)「日立製作所は家電に限らず、電車からATM、昇降機といった人々の暮らしに身近なものから、送配電のようなインフラ設備まで幅広く扱っています。一方、テレビや携帯電話といった黒物はだんだんと主力ではなくなりつつある。さらには軸足がプロダクトからデジタルのソリューションに移り変わりつつあるという、大きな流れもあります。
例えば2003年頃に遡りますが、当時の標準型エレベーターには液晶ディスプレイが載るようになり、それが保守メンテナンスや、利用者向け情報サービスなど、新たなサービス接点としてデザインする対象になりました。
だからといって、旧来からハードのデザインを行っていたデザイナーが、すぐにサービスのデザインができるようになるわけではありません。そうなると改めてデザインの可能性をひろげるために研究に立ち戻る必要が出てくる。その繰り返しで今があります」
実際、これまでも繰り返しデザインの研究に立ち戻ってきた。例えば、現在のデジタルデバイスにおけるUIやUXといった考え方とも繋がる2001年に設立した「Hitachi Human Interaction Lab」の活動や、2000年代から急速に社会に広がったエコやロハスといったコンセプトと呼応した「エコエクスペリエンスデザインプロジェクト」、2010年に立ち上がった「ビジョンデザインプロジェクト」など。いずれも今の時代のキーワードへと連なる研究に早期から取り組み続けてきた。
冒頭で赤司が語ったように「意匠(デザイン)をR&Dの対象と捉え、リサーチして発展させる」同社のDNAを体現した歴史と言えるだろう。
戦後すぐからの歴史を経て、デザイン経営のリーディングカンパニーへ変革──パナソニック
日立製作所と同様に、デザイン組織が長い歴史を持つのがパナソニックだ。1950年頃、アメリカから帰国した松下幸之助がいち早くデザインの重要性に気づき、意匠課を新設。ここを出発点に、デザイン組織は現在まで形を変えながら展開してきた。
1985年には製品デザインを担当する部門とは別に「総合デザインセンター内システムデザイン部」が発足。この時期を分岐点に、ハード以外のソフト面にもデザインのスコープが広がっていく。この組織は後に数度の組織変更を経て、現在、「トランスフォーメーションデザインセンター」になる。
同センターは特定の事業領域や商品ではなく、事業変革を起こすべくさまざまな部門などからのリクエストや相談に応えるグループ内のデザインコンサルティング部門として機能。新規事業や成長戦略プロジェクトを対象とし、プロジェクト推進、研究開発やナレッジ蓄積といった役割を担う。
さらにパナソニックのデザイン組織に大きな変革が起こり始めるのは、2017年頃。デザイン拠点として「Panasonic Design Kyoto」を開設。2019年以降、グループ横断のデザイン部門であるデザイン本部を、デザインR&Dやコミュニケーションデザインに取り組む組織に拡大させてきた。また、事業領域を超えてデザインフィロソフィー「Future Craft」を標榜し、グループのデザイナー同士の意思を統一することで、「求心力」を生み出した。
- デザインはパナソニックをいかに変えた?組織、制度、開発…多面的に紐解くインハウスの現在地
- https://designing.jp/panasonic-kimura-matsumoto
中川(パナソニック)「ただモノを作って提案するだけだったところから、『もっと生活者を理解すべきだ』という共通認識ができていきました。いわゆるUXの重要性が説かれ、生活者のことを深く知り、ユーザーの実際の体験をデザインすることに重きが置かれる方向にシフトしていったんです。
生活者起点の価値探索や未来構想を牽引する『FLUX』というBTC組織が作られたり(現在はトランスフォーメーションデザインセンターに集約)、あらゆる顧客接点を考える『360 UX(サンロクマルユーエックス)』という言葉ができ、この考えに沿った領域へのサービス拡張が図られました。こうした動きは、後の未来構想・R&Dや、現在のマーケティングコミュニケーション、ブランドコミュニケーション領域へのデザイン機能の拡張へと続いています」
これを率いたのが、後に同社では初となるデザイン部門出身の執行役員に就任する臼井重雄。上海デザインセンターを立ち上げ現地発のデザインを生み出す集団へと成長させ、日本に帰任後しばらくしてデザイン本部長に就任した。組織やルールを変革しつつ、社内・経営との関係性を積み上げていきパナソニックグループのデザイン経営を主導。現在ではデザインに関わる組織として数百人へとその規模を拡大しているという。
中川(パナソニック)「臼井による変革で、より経営に貢献するかたちで、社内の組織や拠点・プロセスも変わりましたが、それに加えて『人』が変わったことも会社にとっては非常に大きいと思います。これまでプロダクトデザイナーが大半を占めていた組織に、UXデザイナー、リサーチャー、ストラテジストなど、デザイン領域で異なる専門性を持つスペシャリストや、文化人類学やマーケティングなどのバックグラウンドを持つ人材、副業で自分が起業した会社を持っている人材を採用していった。かつ、新卒からの面々が中心だった組織に中途人材も次々と招き入れ、文化的にも変化が起こっている。新たなフェーズに来ている感覚はあります」
なぜ今、インハウスデザイナーたちは連帯するのか
近年になって、事業と呼応し大きくデザインの立ち位置が変わった2社と、50年以上の歴史の中でデザインの役割や立ち位置を変え続けてきた2社。
近年、大手企業でインハウスデザイン組織の動きが活発になっているが、この4社だけを切り出してみても、その実は非常に多様、かつ事業規模や歴史といった確かな地盤を活かした、ドラスティックな動きをしていることが見て取れる。表層的に「デザインを活かす」のではなく、積み上げられたものを活かした“変革”は、この規模でなければなしえない、豪快で大きな変化を生んでいる。
そうした4社が、今回一堂に会したのは、ここまで語られたような個社の動きを共有し、お互いの知見や経験、視座を交換する機会を作ろうとしているからだ。なぜ彼らは「インハウス」という共通項の元で、企業の枠を越えた活動に取り組むべきと考えるのか。発起人の一人であるKOEL・高見はこう語る。
高見(KOEL)「私はKOELに入社するまでは長年メーカー系企業に勤めてきましたが、各社のデザイナーが集い、知見や情報を交換できる場というのは、あまり数は多くありませんでした。業界団体での交流機会などはありますが、異業界との交流機会はなかなか作りづらい。結果、知見や視点が偏る側面もありました。
そこでKOELでは、2023年にデザイン誌『AXIS』と共同で『インハウスザイナー3.0』をテーマに複数回ゲストを交えて議論を実施。ここにいる方々ともその機会でお話しをさせていただきました」
- なぜ今「インハウスデザイナーが面白い」か?KOEL 田中友美子、金 智之 × SMBC 金澤 洋 対談
- https://www.axismag.jp/posts/2023/03/525473.html
高見(KOEL)「KOELは2020年に発足したばかりで、組織づくりやデザイン領域の開拓といった新しい挑戦が相対的にしやすい側面はある一方、まだチャレンジできていない領域も多い。だからこそこれまでの取り組みを振り返っても、歴史が深い他社から学べることが多くあると強く感じています。願わくば、こうした活動を起点に、日本全体で面白い活動が生まれてほしい」
以前までの風潮であれば、「こうしたインハウス同士の連帯は想像すら難しかった」と中川は語る。現在は転職が当たり前となり、人材の流動性は高まり、キャリアの歩み方も多様化した。それもあって、昨今の動きは必然と永井、赤司も重ねる。
永井(Tangity®)「少し前までは『外に見せちゃダメ』とか『語り過ぎるのはよくない』といった風潮があったり、業界単位でサイロ化してしまうようなこともあり、企業の垣根を越えるのは難しかった側面もあります。
ですが、転職などを経験し一歩違う業界や産業に足を踏み出すと、まったく違う景色が見えるし、新しい視点や学びも得られる。その意味でも、もっとさまざまな業界・領域に関わる人が垣根を超えてつながり、互いにドライブをかけ合える機会が必要ではないかと考えています」
赤司(日立)「今までのインハウスデザイン組織はどうしてもクローズドになりがちでした。デザインがピカピカに磨かれた状態でプレゼンテーションされることはあっても、デザイナーが時代のどんな空気を感じ取ってデザインしたのか、その背景情報が明かされることはほとんどない。おっしゃるとおり『出してはいけない』雰囲気すらありましたよね。でも今はプロセスからオープンにすることも、それによって協創が生まれるというのも、一般的になりつつある。むしろ“出すこと”が価値を生む時代です」
共創という文脈に関して、中川もこうした他社と繋がる機会の重要性に触れた。
中川(パナソニック)「社会課題を捉えたり未来構想をしたりするような、大きなものと向き合うとき、自社だけに閉じているとどうしても視野が狭くなり、答えを見出すことが難しくなっています。だからこそ、社内外の異なる専門性を持つ人たちとの共創が必須になりつつある。
知見や学びを共有するという意味を持ちつつも、純粋に接点が生まれること自体が、共創や協働の第一歩にもなると思っています」
そうした思いのもと、4社が共催のイベント『RENEW』が11月22日に開催される。“インハウスデザインの可能性と役割の現在地”をテーマに、インハウスにおける「デザイナー」「デザイン組織」の2軸でトークを展開する。
- RENEW - インハウスデザイン 可能性と役割の現在地
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近年デザイン経営の文脈を経て各所で語られてきたテーマだが、ここまでの4社話にもあった通り、歴史ある大手企業ならではの“積み重ね”の上にある組織・デザイナーはまた異なる景色があることが伺える。各社固有の背景と積み上げを紐解きながら、そこから見える2024年末現在における、「インハウスデザインの可能性と役割の現在地」を深めていく機会となるだろう。
ただ、このRENEWもあくまで皮切りに過ぎないと4社は意気込む。これを機に新たなつながりや機会、活動が生まれることを期待したいという。
中川(パナソニック)「これはあくまで『一歩目』なんですよ。やって終わりというものにはしたくなく、それを起点に長い目線で広げたり関係性を作ったりしていきたいと思っています。その先で一緒に何らかの課題と向き合って見たり、アウトプットが生まれたりなど、さらに大きなうねりを生んでいければと思っています」
赤司(日立製作所)「この先で、オフィシャルでもカジュアルでももっとさまざまな機会が生まれていくといいですね。自分はたまたま他社に友人がいて、その人の転職であったり組織の悩みの相談に乗ったりするのですが、そういった話って自分自身にとっても凄く学びになったり、考えを深めるきっかけになるんですよね。横のつながりが、新たな視点を持つ機会になることもあるし、そこからオフィシャルな仕事になったりもする。その意味でも、構えすぎずカジュアルにこういった機会を活かして欲しいと思います」
高見(KOEL)「悩んでいることも自分たちの経験も、もうちょっとカジュアルに話せると、違う視点を得られたり、共通項から新たなアイデアが出てきたりもします。所属だけに縛られず視野を広く持てるよう、この機会を新たな枠組みとしてぜひ活かしてもらえたら嬉しいですね」
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